マラソン大会前の30km走は必要or不要?走るべき理由とやらない理由

2021年11月22日

フルマラソンのレースが近づくと「そろそろ30km走しておこうか」となる人もいるかもしれませんが、このレース前に30km走をしておくという考え方は本当に正しいのでしょうか?「30kmを走れたら本番も安心」という考え方が根底にあるのだと思いますが、必ずしもすべてのランナーに有効なわけではありません。

そこで今回はフルマラソン前の30km走の基本的な考え方を解説し、自分にとって必要なのか、それとも不要なのかを判断するための基準をご紹介していきます。不要論と必要論がわかれているトレーニングですので、迷っている人はぜひ参考にしてください。

30km走を行うとどんなメリットが有るのか

30km走はマラソン大会本番の1ヶ月前くらいに行うのが一般的で、やっておくことで30kmという距離に対する不安がなくなり、また自分自身のコンディションを把握して、レースペースの設定に役立つといったメリットがあります。1回30kmを走っておくことで走力がアップするというよりは、心理的に優位に立てるというのが30km走をする理由です。

マラソン大会の1ヶ月前になって、いきなり走力が上がるなんてことは考えられないので、レース前のレベルアップ目的ではないということをしっかりと頭に入れておきましょう。フルマラソンをどのようなプランで走るかを決めるのには役立ちますが、30kmを走ることによる疲労も発生するので、メリットだけでなくデメリットがあることも覚えておきましょう。

こんな人は30km走はしないほうがいい

● ケガを抱えている
● 20kmをレースペースで走れない

まず30km走に適していないランナーとして挙げられるのが、ケガを抱えている場合です。膝に不安があったり、腰が痛いというだけでなく疲労感が抜けないという人も30km走は回避してください。この場合にはレース本番にベストコンディションで挑めなくなるリスクがあります。フルマラソンよりも短いとはいえ、負荷はかかるので自分の状態がいいときにやる練習だと考えてください。

また、そもそも20kmをレースペースではしれないなら、30km走をする意味がありません。30km走はレースの疑似体験でもありますので、レースペースよりもあまりにも遅いペースで走っても、本来期待したい効果は得られません(LSDにはなります)。まずは自分の想定しているレースペースで20km走れる状態に整えましょう。

30kmを走るよりも完走予測時間動き続けるのがおすすめ

30kmをしておきたいけど、体への負担を考えると回避したほうが良さそうというケースでは、無理に30km走るよりは、マラソンの完走予想時間動き続けるのがおすすめです。例えば完走予想時間が5時間なら、5時間のハイキングや登山などをして、体を動かし続けることに慣れておきましょう。

どれくらいで空腹感を感じるのかなど、自分の体の変化を把握して、マラソンでのレースプランに落とし込むことも大切です。長時間歩き続けるだけでも、毛細血管はしっかりと拡張できますので、持久力アップの効果も期待できます。それでいて体への負担は小さいので、レース当日に疲労を残すこともありません。

走っていないと不安になるかもしれませんが、高負荷で速く走るだけがトレーニングではありません。ゆっくり動き続けるというのもマラソン完走にはプラスになるトレーニング方法のひとつですので、30km走が不安というの人はぜひ試してみてください。山だけでなく、京都や鎌倉のような観光地散策と組み合わせるのもおすすめです。

自分自身の走力やコンディションに合わせて決めよう

「フルマラソンの前に30km」というのは定番のトレーニング方法になっていますが、1回30kmを走ったくらいで劇的に走力が上がるわけではありません。むしろそれによって疲労が溜まってしまうこともありますので、十分な走力が備わっていないなら、長い距離を走ることよりも、長い時間かけて体を動かすことに重点を置くのがおすすめ。

もちろんまったく意味がないわけではなく、1ヶ月に1回くらいのペースで3〜4ヶ月続けられるならLSD効果の積み重ねが期待できますし、何よりもレースで30kmまでは慌てることなく自信を持って走れます。自分なりに何のために走るのかをよく考えて、30kmを走ることがプラスに働くと判断できれば行い、マイナスに働くと考えるなら止めておきましょう。

30km走は絶対にやらなくてはいけない練習ではありません。ただ、フルマラソンを歩かずに走りきりたいというのであれば、30kmくらいは余裕を持って走れて当然。逆に考えると、30kmが不安というのはフルマラソンを走れる準備ができていないことを意味します。そう考えると、迷っているならやらないほうがいいでしょう。

自分のコンディションがいまいちというときも、無理して30kmを走るのではなく「走れるところまで走る」くらいにしておきましょう。気がついたら30km走っていたというのが理想。気合と根性で乗り切っても、フルマラソンの壁が高く感じてしまうだけです。ケガのリスクもありますので、やったほうがいいという思い込みだけで30km走を取り組むのはやめておきましょう。

 

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