ランニングのジョグはどれくらいのスピードが正解?

2022年2月4日

ランニングの練習で最も多いメニューが「ジョグ」です。1週間毎日トレーニングをするとして、負荷の高いポイント練習をできるのは1週間に2回が限界。そうなると1週間のうち5日はジョグをすることになります。ただ、このジョグというのはただ走ればいいというわけではなく、ペースや時間をきちんと考える必要があります。

でもジョグってどれくらいのペースで走るのが正解?と疑問を持っている人もいるかと思いますので、ここではトレーニングの中心となるジョグについての基礎知識と、実際にどう取り組んでいけばいいのかについて解説します。ジョグのペースで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

ジョグに決まったペースはなく人それぞれでOK

身も蓋もない話ですが、ジョグに決まったペースはありません。キロ6分とかキロ7分とか言われることもありますが、そもそもフルマラソンを2時間ちょっとで走る人と、7時間で走る人では走力が大きく違い、最適なジョグのペースが違ってきます。

同じサブ4ランナーであっても、走り方や筋肉のつき方が違いますので、最適なジョグのペースは違います。このように決まっていないからこそ、みんな「ジョグってどれくらいのペースで走ればいいの?」と疑問を持ち続けるわけですが、それに対して最適な答えを示せる人はいません。

もし「ジョグはキロ7分で」なんて明確な数字を出しているランニングコーチがいたら、その人から教わることなんて何もありません。もちろん、個別にジョグのペースを提示してくれるコーチもいますが、それだって根拠があるわけではありません。なぜなら、ジョグのペースは同じ人でも日によって違い、定まるものではありませんので。

まず頭に入れてもらいたいのは、ジョグに決まったペースはないということ。これを探すのは時間の無駄以外の何ものでもありません。「ジョグをどのペースで走ればいいのか」という問いは、「人はなぜ生きるのか」と同じくらい深く、そして答えが見つからない質問だと覚えておきましょう。

ジョグのペースは自分の体の感覚に委ねる

  • どこまでも走り続けられそうなペース
  • 翌日に疲労が残らないペースと時間(距離)

ジョグのペースを決めるのはランニングウォッチではなく、自分の体の感覚です。基本となるのは「無理なくどこまでも走り続けられそう」と思えるペースです。これはポイント練習翌日と翌々日とでは当然変わってきます。ある日はその感覚がキロ6分30秒だったのに、翌日にはキロ7分になることもあります。

そしてもうひとつ大事なのが、翌日に疲労を残さないペースと時間を見極めるということです。自分の感覚でゆっくりのペースでも、走り終えて疲労感がしっかり残っているくらい長時間走るのはNGです。そうなるとLSDのようなポイント練習になってしまいます。ジョグは鍛えるのではなくリカバリーを促すためにします。

疲労を残さない時間としましたが、これは距離でも構いません。ただ、距離を決めると心理的にペースが上がってしまいがちなので、時間で終了させるほうがおすすめです。10kmと決めると本来なら日によって60分の日もあれば70分の日もあるのに、少しでも遅くなると不安になって、無理に60分で走ろうとしてしまい、オーバーペースになるわけです。

そうならないために1時間と決めたら、1時間だけ疲労を残さないペースで走ってください。もちろん走力によって30分でも2時間でも構いません。ただ2時間以上はジョグではなくLSDになるので、どうしても疲労は溜まります。ジョグの日は長くても2時間くらいで切り上げましょう。

ランナーにジョグが必要な理由

そもそもなぜランニングのトレーニングにジョグが必要なのでしょう。毎日そこそこのペースで走り続けるのはダメなのでしょうか。この疑問に対する答えはとても難しいのですが、基本的にはランニングトレーニングは超回復理論がベースになっており、その理論に基づいてジョグは必要なトレーニングと位置付けされています。

超回復理論というのは、筋肉に大きな負荷をかけて破壊を促し、その破壊された筋肉が修復させると負荷をかける前よりも筋力がアップするという人間の特性を活かした理論です。古典的な理論ではありますが、今でもランニングの世界ではこの考え方がベースになっていて、ポイント練習によって筋肉を破壊して、休養によって修復を促します。

ただ回復には48時間以上かかるので、この48時間にまったくトレーニングをしないとなると、心肺機能も負荷をかけていない箇所の筋力も低下します。ジョグはそれを防ぐために行います。ですので、筋肉や心肺機能に程よい刺激があればいいんです。むしろ、必要以上の負荷はリカバリーを遅らせてしまうのでNG。

また、ゆっくりと走ることでカラダの毛細血管が拡張されることがわかっており、ジョグをすることで持久力がアップします。がんばってないのに走力が上がるので、これを上手くイメージできずに、ジョグなのに「もう少しスピードを出そう」となる人がいますが、それはまったく意味がありません。長時間走れる体になるには、ゆっくりと走ることも大切なのです。

ジョグをするときに気をつけること

実際にジョグをするときに気をつけなくてはいけないポイントを見ていきましょう。

  • できるだけ単独走をする
  • ダラダラと走らない
  • トップランナーのジョグペースは無視する

まずは誰かと一緒に走らないということ。最適なジョグのペースは人それぞれ。一緒に走ると、どちらかのペースに引きずられてしまいます。結果的にリカバリーできずに疲労が溜まることもありますので、他の人と走らずに単独走にしてください。

そしてもうひとつ大事なのは、ダラダラ走らないということ。ダラダラ走るのとゆっくりと走るのは違います。きちんと姿勢を保って、美しいフォームを意識しながら走ってください。意識はレースを走るのと同じで、ただスピードを出さないだけ。高い集中力を維持しながら走りましょう。

また、トップランナーが「ジョグはキロ5分くらいです」というようなコメントをすることがありますが、これは何の情報にもなりません。その人にとっての疲労が溜まらないペースが、キロ5分くらいというだけで、自分にはまったく関係ありません。誰かにジョグのペースを聞いても役立ちませんので、自分のペースは自分で見つけましょう。

もちろん、その日のコンディションによっても違います。ペースで決めるのではなく、自分なりに「これくらい」という感覚を大切にしてジョグするように心掛けましょう。

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