2022年7月30日
気温が30℃以上あるなら「走らない」という選択が正解。でも北海道マラソンにエントリーした人や、秋のレースで結果を出したいなら、この時期に走り込む必要があります。北海道マラソンですとレースそのものが30℃を超える可能性があり、練習で暑さに慣れておきたいという人もいますよね。
だとしたら、熱中症対策をしっかりとしておく必要があるのですが、そのために効果的なのが「手のひらを冷やす」という方法です。これは最近注目されている熱中症対策で、手のひらで血管を冷やして、体温を下げることで熱中症を防ぎます。ただ冷やせばいいというわけではないので、ここでは冷やすときのポイントを解説していきます。
気温が高いなら走らない&十分な水分補給が基本
繰り返しになりますが「気温が高いなら走らない」これが夏場のランニングの基本です。さらに手のひらを冷やすというのは万能な熱中症対策ではないので、これまでと同じように、十分な水分補給も必要になります。それを踏まえて、まずは下記の熱中症対策を行ってください。
● 早朝に走る(日が沈んでから走る)
● こまめに水分補給できる周回コースを走る
● 水ではなくスポーツドリンクを選ぶ
● 走る前後に体重計測し、失われた汗を補う
● 熱がこもりにくいウェアを選ぶ
● 日焼け止めをしっかりと行う
● サングラスとキャップを着用する
これらを守れば、熱中症になるリスクは大幅に下がります。特に午前9時までに走るようにすれば、気温も30℃を超えるようなことがほとんどありません。気温が高いものの、直射日光を回避できる日没後のランニングでもOKです(どうしても早朝に走れない場合)。
ただこれらを守っても、気温が高いので心拍数も上がりやすく、さらに体が熱を貯めてしまうので、他のシーズンと同じような負荷をかけることができません。ペースがかなり遅くなるので、焦って練習量を増やしてしまいオーバートレーニングや夏バテになるというのが夏場のトレーニングあるあるです。
そこで「手のひらを冷やす」という手法が登場します。
手のひらを15℃で冷やせば深部体温が下がる
いろいろ熱中症対策をしたところで、気温が30℃前後もあると、ランニングによって発生した熱を体内から逃がすことができません。アスファルトの上は40℃を超えることも珍しくなく、そのような環境だと走れば走るほど体に熱がこもってしまいます。熱が逃げないので最終的には体が機能停止を起こして走れなくなります。
これを解決するには、もっと物理的に体を冷やす必要があります。ただ保冷剤を体に巻き付けて走るわけにはいきませんし、それができたとして、体の表面を冷やしているだけで深部体温は高いまま。ただし、人間の体にはAVA血管というものがあり、ここを冷やすことで血液を冷却できます。
冷却された血液が体内を巡って熱を奪うので、自然と深部体温が下がるというわけです。そのAVA血管は手足の末端や、顔に一部にしかないのですが、好都合なことに手のひらにもあるので、冷たいものを握るだけで血液が冷却でき、深部体温を下げられるというわけです。
ただし気をつけなくてはいけないのが、冷えれば何でもいいというわけではありません。たとえば氷で冷やすと、冷たすぎて血管が収縮してしまい血行が悪くなります。そうならないために最適な温度で冷やす必要があるのですが、それが15℃という温度です(12℃としているケースもあります)。
15℃というのは冷やしたペットボトルよりもやや高い温度なので、冷蔵庫から出したペットボトルを少し放置してから、手のひらを冷やせばOK。ただ、日々のトレーニング中にはその方法は使えないので、手のひらを冷やすための専用アイテムを使うことになります。
長時間15℃をキープできるアイテムを使って走る
冷やしたペットボトルで手のひらを冷やすのは有効ですが、走っていればペットボトルはどんどんと温度が上がっていきます。おそらく30分もしないうちに、冷却材としての役割を果たせなくなってしまいます。それでも多少の効果がありますが、ないよりはマシくらいのもの。
手のひらを冷却したいなら、15℃を長時間キープできるアイテムを使いましょう。「ランニング 手のひらを冷やす」で検索すると、さまざまなアイテムが出てくるので、これらを活用するだけでOKです。1,000〜3,000円程度で購入できるので、この夏にしっかり走りたいという人や、レースが入っているという人は購入しておきましょう。
睡眠前に手のひらを冷やせば眠りの質がアップする
ランニング前に手のひらを冷やしはじめて、そのまま走りに行けば、暑さに負けずに距離を積むことができるようになりますが、手のひらを冷やすことは、熱中症対策以外にもプラスの効果を得ることができます。
それは高いリカバリー効果を得られるということ。
私たちの体は睡眠時に深部体温を下げることで、質の高い睡眠を得られることがわかっています。すでにお伝えしましたように、15℃でAVA血管を冷やしてやれば深部体温が下がるので、何もしないよりも睡眠の質が上がります。睡眠の質はリカバリー効果と密接な関係がありますので、眠りが深くなることでしっかりとリカバリーできるようになるというわけです。
夏は疲労が抜けにくく、1度体が重たくなると、そのまま秋から冬にかけて引っ張ることも珍しくありません。そうならないためにも、質の高い睡眠が重要になります。眠る前に手のひらを冷やす。これを習慣化するだけで、随分と楽になるはずですので、しっかりと寝れていないという自覚がある人は、就寝時に手のひらを冷やしてみましょう。
騙されたと思って手のひらを冷やしてみよう
手のひらを冷やすというのは万能なわけではありませんが、何もしないよりはずっとマシ。実際に夏場に走ると、熱が体の奥から湧いてくる感じがありますが、手のひらを冷やしながら走ると体の深い部分はそこまで体温が上がらずに、体の表面だけで汗をかいている感覚になります。集中力が途切れることもなく、しっかりとした足取りでジョグができます。
もちろん個人差はありますが、数千円の投資でトレーニングの質を上げられて、しかもリカバリーも促されるなら、これをやらない手はありません。ただ、何も考えずに冷やすと逆効果になることもありますので、必ずAVA血管を冷やすためのアイテムを使って冷やしましょう。効果を試したいだけなら、保冷剤+タオルでもOKです。
1度試してみると「こんなに走りやすかったっけ?」となること間違いないので、まずは騙されたと思って手のひらを冷やしてみてください。何かを持って走るのが面倒なら、ランニング前にしっかりと冷やしておくというのでも構いません。秋マラソンで結果を出すために、この時期に走り込んで起きたいなら、ぜひお試しください。