完走メダルを手にするために知っておきたいマラソンの考え方

マラソン大会の参加賞のTシャツなどは、エントリーさえすれば誰でももらえます。でも完走メダルやフィニッシャーズタオルは、完走した人だけが手にすることができます。どんなハイレベルの選手であっても、完走しないことには完走メダルをもらえません。

そんなこと分かっていると言われそうですが、どれだけ準備をしてもリタイアする可能性があるのがマラソンというスポーツです。Aブロックのゼッケンを付けているランナーが、早々にリタイアしているのを目にしたことのある人もいますよね。

そこで、ここでは確実に完走メダルを手にするために、ランナーが何をしなくてはいけないのかについてご紹介していきます。

マラソンはタンクに入った燃料をどれだけ上手く使えるかを競うスポーツ

マラソンはどんなスポーツでしょう?「走る競技」と答えた人は、マラソンの本質をわかっていません。確かに42.195kmを走るスポーツなのですが、ただ走ればいいというものではありません。何も考えずに走ってしまうと、間違いなくレース後半で歩くことになります。人によっては、関門に引っかかってリタイアするかもしれません。

この競技を考えるときに、まずは燃料が入ったタンクをイメージしてください。イメージしにくい人は車のガソリンタンクでもかまいません。マラソンは、このタンク内の燃料を上手に使って42.195kmを走るスポーツです。

まだピンとこないかもしれませんが、例えばスピードを上げてしまうと必要以上に燃料を使うことになり、42.195kmにたどり着く前にタンクが空っぽになって走れなくなります。また、マラソン前日などに体調を崩してしまうと、スタートラインに立ったときに、すでにタンクの半分くらいしか燃料が入っていないなんてこともあります。

そんな状態で、いつもと同じように走ったらどうなるか。当然途中でガス欠になりますよね。反対にゆっくり走りすぎると、ゴールしてもまだタンクに燃料が残ってしまいます。これはもっとがんばれた状態ということになります。失速はしていなくても、それはそれで失敗レースです。

燃料をいかに、42.195kmで使い切るか。こう考えたとき、マラソンというスポーツの向き合い方がまったく違ったものになるはずです。

タンクの容量を大きくするために練習をする

マラソンがタンクの燃料を上手に使って走る競技だとすれば、より多くの燃料を詰める大きなタンクのほうが有利なのは容易に想像つきますよね。このタンクは誰でも大きくできます。きちんと練習をすれば……ですが。このタンクを大きくする作業に値するのがジョグです。

ジョグはゆっくり走っているので楽に思えるかもしれませんが、ゆっくり走ることで毛細血管が発達し、より長い距離を走れるようになります。トップランナーが「走った距離は裏切らない」と言いますが、たくさん走ってタンクを大きくしたのだと考えてください。

少し話が逸れますが、インターバルやペース走などのスピード系の練習は、エンジンの回転数を上げなくてもスピードを上げられるようになる練習だと考えてください。時速10kmで走るのに2000回転必要だったのに、インターバルやペース走をすることで、1500回転でも時速10kmを出せるようになります。結果的に燃費の改善に繋がります。

コンディションを整えるのはタンク内の燃料を満タンにする作業

レース直前は練習量を落としてコンディションを整える必要があります。いくらタンクを大きくしても、その中に燃が入っていなかったら意味がないですよね。よくレース前日に気持ちが落ち着かず10kmくらい走ってしまう人がいますが、これは燃料を無駄遣いしているだけです。

前日に炭水化物を多く摂取したほうがいいというのも、燃料を満たすためです。フルマラソンを3時間以上かけて走る場合には、レース途中でも補給が必要になります。人間が貯められる燃料には限りがあり、フルマラソン1本分に少し足りないくらいしか貯蔵できません。

ですので、トップランナーはスペシャルドリンクを使います。糖が多く含まれているドリンクを飲んでエネルギー補給を行います。わたしたち市民ランナーレベルではスペシャルドリンクを用意できませんので、エナジージェルやエイドの給食を利用します。

ただ、トップランナーレベルのスピードでないなら、体脂肪を燃料にすることもできます。これについてはまた機会があればお話しますが、ここではタンクを満タンにしてスタートラインに立つことの重要性だけ分かってもらえればOKです。

完走メダルを手に入れるためにすべきことまとめ

これまで聞いたこともないような話をいくつもご紹介したので、うまく消化できていないかと思いますので、最後に完走メダルを手にするために、どのようなことをすればいいのかを順を追って説明します。

1.たくさん走って燃料タンクを大きくする
2.スピード練習をして燃費を改善する
3.大会直前になったらタンクを満タンにする
4.レースではガス欠にならないようにペース設定をして走る

これをイメージできるかどうかで、ランナーとしての成長速度が変わってきます。何も考えずに「行けるところまで頑張る」というやり方をすると、いつもレース後半で失速し「練習不足だった」と後悔することを繰り返します。でもタンクをイメージすれば、失速したとしても「今回は自分のタンク容量に対して、ペースが速すぎた」と考えられます。

ですので「次回はもっとペースを落としてみよう」や「このペースで走れるようにタンクを大きくしたり、燃費を改善しよう」とやるべきことが明確になります。やるべきことが分かれば、完走メダルは一気に近づきます。

あなたのタンクはいまどれくらのサイズですか?どれくらいのペースならフルマラソンを失速せずに走りきれますか?この問に対してすぐに答えられる自分を目指しましょう。

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