2020年3月28日
ランナーにとっての重要な相棒のランニングシューズ。この数年はナイキのヴェイパーフライが話題になりましたが、市民ランナーでもランニング選びでマラソンのタイムや完走率が変わってきます。自分に足に最適にシューズを選ぶことで、レース後の疲労感も軽減できるので、完走メダルを手にしたい人はシューズ選びを慎重に行う必要があります。
そこで今回はフルマラソンを完走するために、どのようなシューズの選び方をすればいいのかについて、分かりやすく解説していきます。
シューズは1年に1足のペースで買い換える
まずシューズの買い替え周期ですが、少なくとも1年に1足以上のペースで買い替えてください。
●1年ごとに1足
●500〜800kmごとに1足
本来は500〜800kmくらい走って、シューズのクッションなどがヘタったところで買い換えるのが基本ですが、市民ランナーの多くが1年に500kmも走りません。そうなってくると、1年経過しても「まだきれいだから」と履き続けようとしますが、シューズはゴムや樹脂などの部品を使っているので、時間とともに劣化します。
同じシューズを1年以上使うことを想定していないので、シューズは1年で確実に劣化します。劣化したシューズは足に負担をかけますし、ロスが多くなってタイムも出ません。足に錘を付けて走っているようなものだと考えてください。ただでさえ完走が難しい人がハンディを負うわけですから、その結果は簡単に想像できますよね。
まだ走れると思っても、1年で1回は買い替えてください。
自分の足型にあったシューズを選ぶ
シューズ選びで最も重要なのは「自分の足型にあったシューズを選ぶ」ということです。シューズには木型といって、足の形を模したベースがあり、それに合わせたシューズづくりを行います。ところが、私たちの足の形は人それぞれでみんな違います。ですので、木型と自分の足型がかけ離れている場合には、シューズのフィット感が悪くなります。
自分の足に合っていないシューズを履くと、どこかに空間ができてしまうので、そこが足に擦れて水ぶくれになることがあります。擦れないように小さめのシューズを履くと、今度は長時間走って足がむくれてきたときに、足が締め付けられます。
まず自分の足をチェックして、親指と人差し指のどちらが長いかを確認しましょう。
スクエア型:足の指先がほぼフラットになっている
エジプト型:親指が最も長い
ギリシャ型:人差し指が最も長い
次にランニングシューズを上から見てください。どの指の部分が最も長くなっているでしょう?シューズごとに違いがありますが、ランニングシューズの場合、ギリシャ型をベースにデザインする傾向にあります。
シンプルに自分の足の形と同じタイプのシューズを選びましょう。これで足に豆ができるなどのストレスが解消され、締め付けもきつくなくなるので足にストレスをかけずに走れます。
どうもフィット感が合わないと感じた人は、アッパーがニット素材になっているシューズを選びましょう。ニット素材は伸縮性があるので、足に合わせて変形します。このため、少し足の形にクセのある人でも、フィットしやすいという特徴があります。自分に合うシューズが見つからないという人は試してみましょう。
長い目で考えたときには薄底がおすすめ
最近聞かれることが多い「厚底がいいか、薄底がいいか」という問題ですが、これはマラソンに何を求めるのかによって変わってきます。単純にタイムを追いたいのであれば、ヴェイパーフライなどのカーボンプレートが入った厚底が理想です。これらのシューズは簡単にスピードが出て、クッション性も高いので疲労が残りにくいなどよくできたシューズです。
でも、やや過保護なところもあります。マラソンというのは基本的に破壊と再生を繰り返して成長します。練習で筋肉を破壊し、休養で回復させる。この過程でより強い筋肉を作っていきます。ところが、厚底シューズは筋肉を破壊しないような構造になっているので、破壊と再生がうまくできません。
気がつくと筋力が低下しているなんてこともあります。
トップランナーはそのあたりも科学的に考えてシューズローテーションをしているので、厚底を練習で使っても筋力は落ちません(そこまでやっているランナーがどれくらいいるかはわかりませんが)。でも、市民ランナーはそこまでサポートを受けられませんので、トレーニング効果が高くなる薄底シューズがおすすめです。
それでしっかりと走りきれる走力がついたら、厚底を履いてみるという流れがいいでしょう。
ちなみに初心者用として厚底でゴツゴツしたシューズが売られていますが、あれはおすすめしません。重たくスピードを出せませんし、過保護に作られているので足が育ちませんので。
目的に合ったシューズを選ぶ
1つのメーカーからランニングシューズがいくつも発売されてて、どれにしていいのか迷うかもしれません。そもそもなぜそんなにも種類があるかというと、シューズはそれぞれに目的があって開発されています。どんなレベルのランナーがどういうときに使うのかを考えて作られているわけです。
例えば初心者がフルマラソンを完走するためのシューズがあり、上級者がジョグするためのシューズがあります。ランニングシューズを選ぶときには、この「誰が何のために使うシューズなのか」を意識してください。店員さんに聞いてみるのもいいでしょう。
おそらくシューズ選びをするときに、自分の足に合うシューズを前提にしたときに、2〜3足くらいしか選択肢はなくなります。その2〜3足について「誰が何のために使うシューズですか」と聞けば、きちんとしたショップの店員さんなら的確に答えてくれます。その答えが自分に合っているなら、それが自分に合うシューズです。
ですので、ランニングシューズを買いに行くときには、その目的を明確にしておく必要があります。
●レース用
●ポイント練習用
●ジョグ用
これくらいは絞っておきましょう。できればどれくらいのペースで走るときに使うのかも把握しておきましょう。レース用と言っても、人によってキロ3分なのかキロ7分なのか違いますから。その情報と薄底・厚底の好みを伝えれば、ショップ店員さんがある程度絞ってくれます。その中から自分の足型に合うものを選ぶのでもOKです。
いずれにしても大事なのは、何のために履くシューズなのかをはっきりとして、その目的に合ったシューズをチョイスするということです。最初は難しいかもしれませんので、店員さんにアドバイスをもらいながら決めましょう。
まとめ
フルマラソンを楽に走れるか、それとも苦しみながら走れるか。それを決めるのは練習量とランニングシューズ選びです。練習を積み重ねるのはもちろんのこと、きちんと自分に合ったシューズを選びましょう。間違ってもデザインだけで決めてはいけません。自分の足型に合うもので、なおかつ走力と目的に合っているもの。
そうなってくると実際にジャストフィットするものは、そう多くありません。豊富にシューズを揃えているお店でも2〜3足程度あればいいほうです。だからシューズ選びはかなり難しい作業になります。
でも、そこで適当に選んだのではフルマラソンが苦しいものになり、場合によっては完走メダルが遠のいてしまいます。そうならないためにも、時間をかけてしっかりとシューズ選びを行ってください。