マラソンの後半で心が折れてしまわないための心構え

2020年5月15日

マラソンというのは面白いスポーツで、スタートからいいペースで走っても、ゆっくり走っても30kmを過ぎたくらいからパフォーマンスが下がります。フルマラソンを3時間ちょっとで走れる走力があって、サブ5ペースで走っても、30kmを過ぎたくらいから体に異変を感じます。余裕なつもりだったのに、足が重たくなって……

これはもう仕方のないことなので受け入れるしかないのですが、問題は次のステップです。あまりにも体が動かないから、そこで心が折れてしまう人がいます。制限時間にはまだ余裕があるはずなのに、心が折れてリタイアを選ぶ。これって走力の問題じゃなくてメンタルの問題だったりします。

そこで今回はマラソンの後半で心が折れてしまわないために、どうすればいいのかについてお話します。

マラソンを3分割で考える

マラソンは42.195kmです。多くの人は10km×4本+2.195kmで考えますが、この方法だと30kmを過ぎたところで、残り12.195kmもあるって考えてしまいます。これが意外と長い距離で、しかも失速しているからただただ苦しくて、それに耐えきれなくて歩いてしまう。

そう考えるのではなく、マラソンを14km×3本+0.195mと考えてください。こうなると0.195kmはおまけのようなものですので、14km×3本でかまいません。このとき、各区間を次のように考えましょう。

最初の14km:その日のペースを決める区間
中間の14km:クルージング区間
最後の14km:気合と根性で乗り切る区間

それぞれの区間について少し詳しく解説します。

最初の14km:その日のペースを決める区間

マラソンを完走予想タイムからペースを逆算する人がいますが、そこが最初の大きな間違いです。マラソンは気温や湿度、風の強さだけでなく自分のコンディションや高低差など様々な要素でタイムが決まります。なのに最初から「4時間で走ろう」とタイムを組めるのは傲慢なやり方です。

そんな計算できるならマラソンを走る必要もありません。マラソンは完走を予想してそこに合わせてゴールするスポーツではなく、走り始めてその日の調子を感じて、最後まで走りきれるペースに調整してゴールを目指すスポーツです。その調整をするのが最初の14kmです。

そのうちの最初の5kmは渋滞するのも予定に入れておきます。走りやすくなるまでは周りに合わせるだけで、14kmの区間でその日のペースが確定すればOKです。

中間の14km:クルージング区間

ペースが決まったら、次の14kmは何も考えずにペースを維持します。退屈ですがここがとても大事です。14kmずっとペースをあげたり下げたりせずに、安定したペースで走り続けます。もちろん給水もしっかりして、景色を楽しみながら走りましょう。走り終えたら何を食べようかなど考えるのもありです。

28km地点までは距離も忘れてください。あと何キロとか計算もしないようにしましょう。この計算が思った以上に脳を疲労させます。同じペースを維持することだけを考えてください。

最後の14km:気合と根性で乗り切る区間

28kmから42kmまでは気力がものをいう区間です。おそらく28kmくらいから、足が重たくなるはずです。ここで苦しくなったら次のように考えます。

1.まずは30kmを目指そう
2.28kmから5km走った33kmを目指そう
3.35kmまでがんばろう
4.35kmまできたら最後のブロックもあと半分(7km)と考える
5.あと5kmとなる37kmまで粘る(あと3kmで40km!)
6.40kmまでいけば何とかなる
7.ラスト2kmは楽しもう

このように14kmを細かく分割して考えてください。残り14kmと考えると決して短くないのですが、このように2〜3km程度で分割すると、気持ちが何とか繋がるものです。このときに何も考えずに「あと2km」とするのではなく、その距離に意味をもたせることで気持ちを維持できます。

普段からやり切る練習をしておく

30km以降で心が折れる人は、普段の練習でも諦めやすい傾向にあるのではないでしょうか。ペース走でキロ4分30秒で10kmと決めていたのに、6〜7kmくらいでペースが落ちて、そこで走るのをやめてしまう。インターバルを10本と決めていたのに、苦しくなって8本目でやめてしまう。

そういうことを繰り返していると、マラソン本番でも同じように途中で投げ出してしまいます。それはランニングだけでもなく日常生活でも同様です。何かを投げ出すことを繰り返しているうちに、それが癖になります。

途中で諦めたときに、プレッシャーから解放されて楽になる。楽になった瞬間は気持ちがいいので、「途中で諦めること」を脳が求めてしまうわけです。これではいくらが気持ちが強い人でも、フルマラソンという場では気持ちを維持し続けるのは困難です。

日々の練習からきちんとやり抜くクセをつけましょう。ペースが落ちても決めた距離、決めた回数はやり抜く。その積み重ねで、レース後半で失速しても「まだやれる」と思えるようになります。もちろん膝などに違和感を感じたときは途中でやめるべきですが、気持ちが切れたくらいでやめないでください。

まとめ

マラソン後半で失速すると、残りの距離が長く感じてしまい、「このままではゴールできないかもしれない」なんて思い始めます。上手く走れないから、自暴自棄になって完走を諦めてしまいリタイアする。レースではそうならないように、全体を3分割して、それぞれの区間に役割を持たせましょう。

残りの14kmはトップランナーでも苦しくなるものです。苦しくなるとわかっているなら耐えられます。「そろそろ走れなくなりそうだけど、30kmまではがんばろう」「歩きたいけど35kmまではなんとか……」と走る理由、走れる理由を作りましょう。

あとは練習と日常生活です。普段からやると決めたことを、最後までやり抜く習慣をつけてください。不格好でもいいんです。決めた距離、決めた回数、決めた時間は必ずやりきるようにしましょう。諦めるのは癖になります。その癖を直さないと、また次のレースでも同じことを繰り返します。

何気ない毎日の行動がマラソンでの心のあり方を決めます。マラソン後半で心が折れやすいという人は、まずはやり切る習慣をつけることから始めましょう。

SNS お知らせ