持久力を高めたいならゆっくり長く走るLSDが最適

2020年12月3日

マラソンのポイント練習をするときに、インターバルやペース走などの追い込む系のトレーニングを好む人が多いようですが、サブ4レベルまでならインターバルやペース走というのはそれほど重要ではありません。キロ6分を切るペースで4時間走り続けるのに必要なのは、スピードではなく持久力だからです。

ではどのようなトレーニングをすべきなのか。答えはズバリ「LSD(Long Slow Distance)」です。長い距離をゆっくりと走るトレーニングなのですが、どのようなペースでどれくらいの距離を走ればいいのかという部分が、フワフワとしていて掴みどころがなく、さらに追い込まないので成果が見えにくいことから敬遠されがちなトレーニングのひとつです。

そこで、今回はLSDに焦点を当てて、どのようなトレーニングをすればいいのか解説していきます。

LSDの距離やペースが定められていない理由

LSDをするとなるときに、真面目なランナーほど「どれくらいのペースで、どれくらいの距離を走ればいいのですか?」と聞いてきます。これに対して正確な数字を提示できるトレーナーは1人もいません。なぜなら、ランナーの走力ごとに最適なペースや距離が違うからです。

ペースに関して確実に言えることは1つだけあります。それは「レースペースよりもゆっくり」ということです。思った以上にゆっくりで構いません。ただキロ6分がゆっくりに感じる人と、キロ8分くらいでないとゆっくりと感じない人がいます。ですので、ペースに関しては具体的なものを示すことはできません。

距離も同様です。長い距離に慣れている人なら40km以上走っても構いませんが、マラソンを始めたばかりというのであれば、20kmでも十分にLSDの効果を得られます。長く走れば走るほど効果は得られますが、その前提となるのが「無理なく走れる」ことです。無理して長い距離を走っても意味がありません。

翌日に大きな疲労を残すようであってもいけません。このあたりの考え方が難しいのですが、基本的にはペースや距離、時間は自分の走力を客観的に考えて決める必要があります。その目安となるのが「頑張らないこと」だと考えてください。頑張ったらそれはもうLSDではありません。

心拍数を基準とするとわかりやすい

自分で決めなくてはいけないと言っても、やはりそれができないのがランナーです。そこで、ひとつの基準をお伝えします。それは心拍数を基準にするという方法で、具体的には最大心拍数の60~70%で走ることです。最大心拍数の計算方法はいくつかありますが、ここではとりあえず「最大心拍数=220-年齢」で考えてください。

40歳なら220-40で180が最大心拍数ということになります。その60〜70%ですので、108〜126ということになります。心拍数がこれくらいに収まるくらいのペースで走り続けましょう。そのためには心拍数を計測できるランニングウォッチが必要になりますが、2万円台でも購入できるので買っておきましょう。

心拍数というのは、どれくらい負荷をかけているのかの目安になります。高負荷になると最大心拍数に近づき、負荷が下がると安静時の心拍数に近づきます。LSDの負荷というのが最大心拍数の60〜70%というのが一般的な考え方になりますので、それを参考に自分のペースを決めましょう。

ペースアップは絶対にNG

どんなに気持ちよくても、ペースアップはしないように気をつけてください。LSDで大事なのはゆっくりと走り続けることです。それだと心肺機能にも負荷がかからないし、筋力もつかないのでは?と思うかもしれませんが、LSDの目的は肉体改造にあります。ゆっくり走り続けることで毛細血管が拡張し、細胞に素早く酸素を届けられるようになります。

マラソンは糖や脂肪、そして酸素をエネルギーにして走ります。どれだけ糖や脂肪があっても、酸素がないとエネルギーに変えることができません。LSDの目的は酸素をより早く細胞に届けられるようになるために行います。速く走ってしまうと、この目的を達成できないので、ただ走っただけになるわけです。

トレーニングというのは苦しみに耐えるものだと思っている人もいるようですが、非科学的なトレーニングや非効率なトレーニングをするとケガにつながりますし得られるのは自己満足だけです。LSDの途中でペースアップしても、自分が楽しいだけで、それでは本当の練習とは言えません。厳しい言い方をすれば、それは遊びです。

速くなりたいなら、徹底してゆっくりペースを維持しましょう。

まとめ

ランナーはインターバルやペース走といったわかりやすく追い込めるトレーニングを好みますが、根本的な持久力がなければそれらのトレーニングをしても高い効果は得られません。まずはゆっくりと長い距離を走るLSDで毛細血管を拡張し、走れる体にするのが大切です。スピード練習をするのは長く走れる体を作ってからです。

LSDのペースは人それぞれですので、できるだけ1人で行いましょう。最大心拍数の60~70%を目安にして2〜5時間くらい走りましょう。最初は時間が短くても構いません。無理して長時間走る必要はなく、時間は徐々に伸ばしていけばOKです。とはいえ1時間ではあまり効果を期待できませんので、最初は2時間を目安にして、2週間に1回のペースで行いましょう。

ポイントは頑張りすぎないことです。頑張っている自分に気づいたらストップしてください。それはLSDになっていない可能性があります。気持ちのいい少し遅く感じるくらいのペースでコツコツ距離を積み上げていきましょう。

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