給水はこまめに行うこと!脱水状態が後半の失速を招く

2022年4月27日

人間の体の60%が水分で作られています(成人男性)。細胞には水分が必要ですし、体内にグリコーゲンを蓄えるのにも水分が必要。酸素を細胞まで届けてくれる血液だって水分です。そしてこの水分が2%失われると、運動能力が低下すると言われています。脱水状態になっていなくても、自分の力を発揮できなくなるわけです。

マラソン大会などで30km以降に失速しやすい理由はいろいろとあるのですが、水分不足もその理由のひとつに挙げられます。でも水分というのは意識すれば不足状態を防げます。それなのにやや軽視されがちなところもあるので、ここではマラソンにおける給水の重要性について解説していきます。

自分がどれくらい汗をかくのかを把握する

まずは自分がランニングでどれくらい汗をかいているのか確認しましょう。やり方はとても簡単です。ランニング前後で体重を測るだけでOKです。ランニング前の体重が63kgで、10km走った後の体重が62kgなら、10kmで1リットルの水分が抜け落ちたことになります。もちろん気温やペースなどによっても変わりますので、こまめに記録をつけてください。

● 体重の増減
● 走行時間
● 走行距離
● 気温
● 平均ペース

これらの記録を走るたびに付けておき、自分がどれくらい汗をかくのかをなんとなくでもいいので把握してください。それがわかれば、失った量と同じだけ走っているときに補えばいいわけです。面倒に感じるかもしれませんが、これをせずに正しく水分補給をすることは不可能です。感覚ではなく数字で明確にすることが大切。

1kmあたりどれくらい汗をかくのかを、気温などから自分で推測できるようになれば、記録をとるのは終了してもOKです。それができるようになるまでは、きちんと記録をつけて水分不足にならないように注意しましょう。

トレーニングでも給水できる環境を整えよう

マラソン大会ではエイドに水分が用意されていますが、自分でトレーニングをするときにも同じように給水できる環境を整えてください。周回コースでトレーニングをするなら、途中にペットボトルに入れた水分を置いておくのもいいですし、放置するのが不安という人は、水分を持って走るのでもOK。

ただし、持って走る場合には邪魔にならないように、ボトルホルダーなどに入れて走るのがおすすめです。大事なのはこまめに給水できる環境を作ることです。「1時間くらいだから給水しなくても大丈夫」という人もいるかもしれませんが、夏場に1時間も走ったら、2リットル以上の汗をかくケースもあります。

体重の3%が汗で抜けると、いわゆる脱水症状になるとされており、体重が60kgなら2リットルの汗をかいたら、すでに危険水域(1.8リットル)に達していることになります。その状態で走り続けると、気持ちが悪くなるだけでなく、ランニング中に倒れてしまう可能性もあります。

走ることで自分がどれくらい汗をかいているのかを把握したら、それをランニング中に補うようにしてください。100%補う必要はありませんが、失われた水分の60〜80%くらいは、走りながら給水するように心掛けてください。

マラソン大会のエイドはすべて給水する

レース中の脱水症状を防ぐためにできることは、エイドでしっかりと給水することです。喉が渇いてから水分を摂るのではなく、最初のエイドからひと口でいいのでしっかりと水分を補給してください。水分は1度に吸収できる量が限られていますので、喉が渇いてから一気に飲んでもすぐに体には行き届きません。

冬のレースのように乾燥していて汗をかきにくい場合には、序盤のエイドは給水しなくても構いませんが、それでも10km以降は給水したほうが後半の失速を防げますし、何よりもレース後のリカバリーがしやすくなります。もし体重の3%以上が汗で流れて脱水症状になったら、練習再開までにかなり時間がかかってしまいます。

人間の体は電気信号によって動いていますが、電気が流れるのは水分があってのこと。十分な水分がない場合には電気信号が上手く伝わりませんし、しかも血液中の水分も減ってしまうので、血液がドロドロになって細胞や脳に酸素を送り届けられなくなります。

給水をしないと体重が軽くなって走りやすく感じるから、レースではできるだけ給水しないという人もいますが、それでなんとなかるのはハーフマラソンまで。ハーフマラソンを超える距離で水分を摂らないことは、体にもタイムにもマイナス要因にしかなりません。きちんとすべてのエイドで給水しましょう。

塩分補給も大事!給水は水ではなくスポーツドリンク

ここまで水分補給の重要性を説明してきましたが、気をつけて欲しいのが、水だけを摂っても足りないという点です。ランニングで失われる汗は、多くのミネラルも含んでおり、これも合わせて補給しなければ、本当の意味での水分補給にはなりません。

ただ難しいことはありません。エイドでは水ではなくスポーツドリンクを選ぶだけで、ミネラルをしっかりと補えます。ただ、マラソン大会によってはスポーツドリンクがかなり薄められているので要注意。そのようなスポーツドリンクは水と変わらず、結果的にマイナスになることもあります。

スポーツドリンクは甘いから苦手という人もいますが、あの甘さは体内の水分を保持するためのもので、効率のいい水分補給には必要です。もちろんエネルギーにもなりますし、脂肪の着火剤という役割もあるので、スポーツドリンクが甘いのは「必要だから」だと考えてください。

どうしてもスポーツドリンクが体に合わないというのであれば、経口補水液を持って走りましょう。経口補水液は甘みが少ないので、スポーツドリンクが苦手という人でもしっかりとミネラルを補給できます。最近は経口補水液のタブレットもあるので、そちらを利用するのもOKです。

経口補水液もNGというのであれば、あとは塩を持って走ることです。エイドで水と一緒に摂ることで、脱水状態を回避しやすくなります。そこまで徹底しなくてはいけないのがランニング中の水分補給。ついつい「なんとかなる」と思って軽視しがちですが、質の高いトレーニング、後半に失速のないレースをしたいなら、意識的に給水を行ってください。

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