フルマラソンの完走に必要なのは持久力です。まずは42.195km走れるだけの持久力がないことには、完走メダルをもらってかえることはできません。でも、完走できるようになってくると、今度は「もっと速く走れるようになりたい」と思い始めます。そういうときに、月間走行距離ばかり伸ばしても記録はなかなか伸びません。
速く走れるようになりたいのであれば、走るだけでなく筋力を高める必要があります。そこで、今回はマラソンをもっと速く走るための筋トレとしてのスクワットについて詳しくご紹介します。
物理学の公式からわかる筋力の重要性
物理学が得意だった人は「ma=F」という公式に覚えがあるかと思います。mは質量、aは加速度、Fは力です。この公式からわかるのは、「速度は体重に反比例し、力に比例する」ということです。もう少し噛み砕いて説明します。
・速く走りたければ痩せる
・速く走りたければ筋力をつける
シンプルに言えばこういうことになります。痩せるかパワーを付けるか、もしくは両方を行うことで、ランナーは速く走れるようになります。痩せることの重要性についてはまた別の機会にご紹介します。ここで覚えてほしいのは筋力が必要だということです。
世の中の真理として、速く走るにはパワーが必要なわけです。まずはこのことを頭に入れておいてください。
筋トレをしないと筋力は年々下がっていく
ランナーも20代から30代くらいまでは、走っているだけで筋力がアップします。マラソンを初めて数年間は、右肩上がりに成長してきますが、それは足に筋肉がついていくからです(同時に痩せるからでもありますが)。
ところが、40代を過ぎて50代になっていくと、走っているだけでは筋力がどんどん落ちていきます。1kmのタイムが年々落ちていることを痛感している人もいるかと思います。これは人間の体がそうなっているので、誰もが経験することです。
ただ、マラソンは経験値も重要なので、多少スピードが落ちてきても、テクニックでフルマラソンを乗り切れる人もいます。でも絶対的なパワーは落ちているので、なかなか思うようなタイムで走れなくなります。
そこで筋トレが必要になるわけです。
スクワットは万能のトレーニング方法
足の筋力ダウンを防ぎ、さらに速くなるためには筋トレは必須です。でも、筋トレのためにフィットネスジムに通う必要はありません。ランニングだけを考えれば、スクワットをはじめることで筋力アップを期待できます。
スクワットならランニングと同じで特別なアイテムは必要はありません。自宅で行うのであればシューズすらいりませんので、コストパフォーマンスの高さはランニング以上です。
スクワットにもいくつかの方法がありますが、おすすめなのはフロントランジと呼ばれるタイプのスクワットで、足を左右ではなく前後に開いて行います。
わかりやすい動画がありましたので、参考にしてください。
この他にもいくつかのスクワットがありますので、YouTubeなどで探してみましょう。これくらいの負荷ではなんともないという場合には神野大地選手の動画で紹介されているエクササイズもおすすめです。こちらはスクワットとジャンプの組み合わせですので、より筋力アップにつながります。
気をつけてもらいたいのは、どちらをするにしても無理はしないということです。
筋力がついていないのに、無理に回数をこなそうとすると、膝などを傷めてしまう可能性があります。筋力も走力と同じように一朝一夕で身につくものではありません。ゆっくりと時間をかけてついてくるものですので、焦らずに負荷が高すぎると思ったらそこでやめておきましょう。
スクワットは3日に1回のペースで行う
スクワットは筋トレですので、頻度が重要になってきます。毎日やっても超回復効果を得られませんし、1ヶ月に1回では筋トレの効果が薄れてしまって筋力が低下します。どれくらいの頻度で行うかは人によって違いますが、筋肉痛になるくらいの回数を行うのであれば、3日に1回のペースで行いましょう。
私は3種類のスクワットを各40回行っており、これを3〜4セット行います。回数よりも時間が重要です。
ランジスクワットなら1分の運動量が約1kmのランニングと同じだと考えてください。軽いジョギングでいいなら10分で終わり。これくらいなら毎日でも大丈夫です。ただ筋力アップというよりは筋力維持くらいにしかなりません。
できれば20〜30分ほど行いましょう。最初は階段の上り下りもできないくらいの筋肉痛になりますが、2週間もあれば慣れます。30分程度のスクワットを3日に1回のペースで行い、間はジョグでつなぎましょう。
まとめ
スクワットなどの筋トレは基本的に退屈なトレーニングです。このため3日坊主になりやすいトレーニングのひとつでもあります。でも、やらないことにはどうしたってスピードは落ちていきます。ランナーである前に、私たちは人間ですので加齢による老化は避けられません。
それに抗うにはスクワットをして筋力アップをはかるしかありません。選択肢は老化を受け入れて速く走るのをやめるか、そこに抗うために筋トレをするかの2つにひとつしかありません。まだまだ自分を追い込みたいなら、3日に1回のスクワットを継続していきましょう。
春から夏にかけてしっかり筋トレしておけば、秋になって驚くようなペースで走れるようになっている自分に気づくはずです。継続は力と信じて、完走メダルを手に入れるためにコツコツ積み重ねていきましょう。