ランナーにタンパク質は重要だが摂りすぎはNGな理由

2020年12月15日

ランニングに限らず、ほとんどのスポーツにおいて栄養の基本として「必ずタンパク質を摂取するように」と言われます。わたしたちの体はタンパク質で作られていますので、運動によってタンパク質が失われると、筋肉まで失われてしまうため、運動直後にはしっかりとタンパク質補給するように言われてきたかと思います。

でも、タンパク質の補給は2つのリスクを伴います。ひとつは体重増加と筋肥大で、もうひとつが内蔵のコンディションを崩す可能性が高いというリスクです。もちろん、適量であればタンパク質補給は必要ですが、過ぎたるは猶及ばざるが如しです。糖質制限をしてタンパク質ばかり摂取していたら、あとになって大きなトラブルを抱える可能性があります。

細くてすっきりとした足を目指すならタンパク質は少なめに

箱根駅伝に出るような選手や実業団の選手、プロランナーの足を見てみると、折れてしまいそうなくらい細い人たちがいます。彼らは体重の軽さも強みのひとつなのですが、あのような足を市民ランナーが手に入れようと思うと、タンパク質をたくさん食べるというような食生活はあまりおすすめできません。

トップランナーはタンパク質を摂取しながらも、タンパク質を消耗しているので足が太くなることはあまりありません。ところが、市民ランナーはそこまで長い時間走ったりせず、むしろインターバルのような負荷の高いトレーニングを好むので、トレーニングの後にタンパク質摂取することで、足がどんどんと太くなっていきます。

体重の重さはそのままマラソンタイムに影響するので、できるだけ細くてすっきりとした足を目指したいところです。でも、それには好きなだけタンパク質摂取するという考え方ではいけません。大事なのは適正な量のタンパク質を摂取することです。1日あたりのタンパク質平均必要量は成人男性で50g、成人女性で40gと定義されていますが、まずはこれを目安にしましょう。

これは運動しない人の必要量ですので、単純にこの摂取量かつランニングを行えば、足は自然と細くなっていきます。ケニアのランナーはお肉を食べられるのは1週間で1〜2回程度という人もいます。ミルクティーなどでタンパク質補給はしていても、彼らは必要なだけのタンパク質を摂取していません。でも速いのは足に無駄な筋肉がついていないからです。

速くなりたいなら、走るのに必要のない筋肉はできるだけ落としましょう。そのためには、摂取するタンパク質を減らすことも必要です。どういう体になりたいのかを考えて、摂り過ぎには注意しましょう。

内臓疲労や腸内環境悪化を引き起こす

タンパク質は3大栄養素のひとつで、必ず必要な栄養素なのですが、わたしたちの体は余剰タンパク質を上手く処理できません。余ってしまったタンパク質は窒素になるのですが、この窒素を体の外に排出するためには、肝臓や腎臓の働きが必要になります。ということは、タンパク質必要以上に摂取すると、肝臓や腎臓に負担をかけることになります。

またタンパク質は腸内の悪玉菌の餌になるため、タンパク質を摂りすぎると腸内環境で、悪玉菌優位の状態が作られてしまいます。こうなると腸内環境が悪化して、様々な体のトラブルを引き起こします。具体的には腸の動きが不活性化するので、体内でがんを作りやすくなり、さらには食中毒のリスクも上がります。

腸内環境を良くすることが、免疫力アップにつながり、安定して高いパフォーマンスを発揮できることがわかっていますが、肉を大量に食べるというのは、それと真逆のことをしていることになります。免疫力も下がり、パフォーマンスの質が不安定になります。筋力が増えてもこれではいい結果は残せません。

もちろんタンパク質がまったく不要というわけではありません。大事なのは適量を見極めるということです。内臓に負担をかけずに腸内環境も改善ができる量を正しく摂取すれば、パフォーマンス低下を防ぐことができます。そのためには、自分でどれくらい食べるのが適正なのかを知っておく必要があるので、自分なりにいろいろと試してみましょう。

タンパク質は必要だけど摂りすぎないこと

どんな栄養成分も、適量というものがあります。タンパク質の場合には、体重1kgあたり1日1.4〜1.8gというのが一般的です。個人差がありますが「体重×1.5g」くらいだと考えておきましょう。体重が60kgなら、90gのタンパク質を1日で摂取します。1食あたりで考えると30gになります。

ひとつの食材からこれだけのタンパク質を摂取するのは難しいので、大豆製品や乳製品、そして肉類を上手く組み合わせてタンパク質の量を調整しましょう。練習内容が軽い日やオフの日などは、タンパク質の摂取を抑えて、ポイント練習などのハードな練習をするときには、「体重×1.5g」を目指して多めにタンパク質を摂取しましょう。

足りないようであればプロテインを使うのもありです。ただ、プロテインはカロリーが高く体重増加しやすいので、そうなりにくいタイプのプロテインを選ぶなどの工夫もしましょう。走れる体を目指すなら、体重は増やさず、筋肥大も起こさずに、強い筋肉を手に入れる必要があります。そのためには過剰摂取を避けることです。

繰り返しになりますが、タンパク質はランナーにとってとても重要な栄養素ですが、摂り過ぎは体への負担が大きくなります。何も考えずに摂取しすぎると逆効果ですので、きちんと適量の摂取をこころがけましょう。

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