厚底ランニングシューズの選び方

2021年6月3日

ほぼすべてのランニングシューズメーカーが、フルマラソン用の厚底シューズをラインナップしました。少し前までは「ドーピングシューズ」と揶揄されていましたが、厚底に関するルールも作られたことで、勝負レースでは厚底シューズを履いて走るのが新しい常識に鳴りつつあります。

現時点ではフルマラソンを2時間30分以内に走るようなエリートランナー向けですが、サブ3を目指すランナーでも上手く履きこなせば自己ベスト更新も可能で、シューズによってはどのレベルのランナーでもタイムが短縮します。そうなると履かない理由がなくなるのですが、一方でどのシューズを選べばいいか迷いますよね。

そこで、ここでは厚底ランニングシューズの選び方について、解説していきます。

レース用は軽いことが重要

厚底のランニングシューズもラインナップが増えており、ただソールに厚みがあるだけで速く走るのに適していないモデルも出てきました。こうなるとシューズを見極めるスキルが必要になりますが、レース用に厚底シューズを選ぶなら、まずは軽さをチェックしてください。

以前は「ランニングシューズは軽ければ良いというものではない」と言っていた人もいますが、厚底シューズを選ぶときには、軽いことがとても重要です。理想は27cmで200g以下ですが、230gくらいまでなら許容範囲内です。250gを超えるようになると、シューズに振り回されるのでレース用としてはおすすめしません。

練習用であればあえて重たいシューズを選ぶという考え方もありますが、レース用は軽さが命です。軽くても最新のモデルはすべてクッション性が高くなっているので、軽いだけの薄底レーシングシューズと比べて、足への負担も軽減されています。まずは手で持って重さを確認し、次に履いてみて軽く感じられるかどうかをチェックしましょう。

事前に重さを調べておくのもいいかもしれません。

主要厚底シューズの重要

ナイキ アルファフライ ネクスト%:約210g
ナイキ ヴェイパーフライ ネクスト%:約187g
アデイダス アディゼロ アディオス プロ:約227g
アシックス METASPEED Sky:約199g
アシックス METASPEED Edge:約188g
HOKA ONE ONE ROCKET X:約210g
ニューバランス FuelCell RC ELITE VB2:約221g

足型が合っていることを確認する

重さに問題がなければ、あとは足に合っているかどうかです。少し前まではヴェイパーフライしか選択肢がありませんでしたので、その場合は、多少足に合っていなくてもヴェイパーフライを履くしかありませんでした。でも、ここまでラインナップが増えてくると、自分の足型に適したシューズを選べます。

まず履いてみたときに、足の指がアッパーに当たってストレスになっているシューズは、どれだけデザインが気に入っても、選択肢から外してください。そんなシューズで42.195kmを走ると、レース後半が痛みとの戦いになりますし、その痛みがペースを落とす要因にもなります。

試し履きしてみて、しっかりと足を包み込むようなシューズを選びましょう。ランニングシューズに限らず、どんなシューズもベースとなる木型というものがあります。その木型と自分の足の形が違うと、シューズのポテンシャルも自分のポテンシャルも引き出せません。自分の足型に近い木型を使っているシューズを選んでください。

ということは、1足だけ試し履きをしても意味がありません。できるだけ3〜5種類の厚底シューズを試し履きして、フィット感を確認してみましょう。その中から最もストレスのなかったモデルを選べばOKです。反対に窮屈に感じたり、フィット感が甘いと感じたりしたら、それはNGです。

履いたときの安定感は気にしない

レーシングシューズは普通のランニングシューズと違って、走るときのことしか考えていません。このため、ランニングショップなどで試し履きをして、立ち上がろうとすると安定感がなく、不安に感じてしまうかもしれません。ただ、この不安定さは気にしないようにしましょう。走ってみれば気にならなくなります。

スケートシューズみたいなものだと考えてください。スケートシューズは氷の上を滑るのには最適ですが、滑り終えてスケートリンクの外を歩くのは大変ですよね。厚底のランニングシューズもそれと同じです。走ることだけに特化しているモデルが多いので、立つどころか歩くときにも違和感があります。

それが嫌で「やっぱり薄底にしよう」となる人もいますが、レーシングシューズというのはそういうものだと考えてください。走る機能以外は限界まで削ぎ落としています。立ったときのバランスの悪さや、歩きづらさは仕方がないこと。それに惑わされないように気をつけて試し履きしましょう。できればトレッドミルのあるショップで試走できるのが理想です。

人気であることだけを基準にしない

厚底シューズ選びをするときに、多くのランナーが気にするのが「本当に速く走れるのか」ということですよね。3万円以上するようなモデルも多く、無駄な出費にしたくないという想いが強くて、結局みんなが履いているシューズを選びがちです。でも、すでに厚底シューズはどのメーカーもそれほどポテンシャルに違いはありません。

ナイキ1社しか選択肢がなかったときには、ナイキを選ぶしかありませんでしたが、今はすでに状況が違います。しっかりと自分の足に合うシューズ、自分の走り方に合うシューズを選びましょう。すでにお伝えしましたように、大事なのは自分の足に合っているかどうかということです。

最近はインターネットでもシューズを購入できますが、インターネットで買う場合には返品や交換が可能なショップで購入し、返品不可になっているならショップで足を合わせられるシューズを選んでください。それでも、走ってみたら自分に合わなかったということもありえます。これは市民ランナーがシューズを選ぶ上で仕方のないリスクです。

まずは、そのシューズで走り続けて、買い替えるときに違うメーカーのシューズに乗り換えましょう。もちろんお小遣いに余裕があるなら買い増ししてもいいですけどね。大事なのは自分の基準で選ぶということです。失敗しても基準が明確なら、次に同じ失敗をする確率は下がります。

自分なりの基準で「これなら自己ベスト更新できる」と判断した1足を選ぶようにしてください。

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