
東京マラソンを走り終えた外国人ランナーが2つの完走メダルを胸から下げて、カチャカチャと音をさせながら歩いている光景を見たことがある人もいるかもしれません。「東京マラソンって完走メダルが2つあるの?」と思うかもしれませんが、そのメダルのひとつは「Six Star Finisherメダル」と呼ばれる特別な完走メダルです。
マラソンの6メジャーズと呼ばれる世界6大大会を、すべて制限時間内に完走した人だけが手にすることができるメダルと聞けば、そのすごさをわかってもらえるのではないでしょうか。知ってしまうと自分も手に入れたいと思うかもしれませんが、そもそもどの大会を走ればいいのかなど調べないといけないことがいっぱいあります。
そこで、ここではマラソンの6メジャーズと「Six Star Finisher」について、詳しく解説していきます。
マラソンの6メジャーズとは?

あまり知られていないのですが、世界の主要マラソン大会をポイント制で競い合う陸上競技シリーズが毎年行われています。その陸上競技シリーズが、「ワールドマラソンメジャーズ(World Marathon Majors、略称:WMM)」になります。
たとえばワールドマラソンメジャーズの対象レースである東京マラソンで1位になると25ポイント、2位になると16ポイントを獲得できます。シリーズ6戦のうち2戦の獲得ポイントが多いランナーが年間王者になり、優勝賞金として50万USDが贈られます。
そして、この「ワールドマラソンメジャーズ」の対象レースからオリンピックと世界陸上選手権を除いた、下記の大会が「6メジャーズ」と呼ばれています。
- 東京マラソン
- ボストンマラソン
- ロンドンマラソン
- ベルリンマラソン
- シカゴマラソン
- ニューヨークシティマラソン
ランナーなら、どの大会も名前を聞いたことがあるかと思います。世界最高記録を狙える大会や伝統のある大会が含まれていて、東京マラソンは2013年からワールドマラソンメジャーズに加わっています。
ちなみに「アボット」というのは、ワールドマラソンメジャーズのタイトルスポンサーに「アボット・ラボラトリーズ」が就任しているためで、いずれ別の企業名がつく可能性もあります。ひと昔前なら「トヨタ・ワールドマラソンメジャーズ」や「ソニー・ワールドマラソンメジャーズ」なんて日本企業の名前が付いていたかもしれません。
それぞれの大会の概要を見ていきましょう。
東京マラソン
開催地:日本・東京
開催時期:3月
創立:2007年
URL:https://www.marathon.tokyo/
男子最高記録 | 2:02:40 | エリウド・キプチョゲ(ケニア) |
女子最高記録 | 2:16:02 | ブリジット・コスゲイ(ケニア) |
ボストンマラソン
開催地:アメリカ合衆国・ボストン
開催時期:4月第3月曜日
創立:1897年
URL:http://www.bostonmarathon.org/
男子最高記録 | 2:03:02 | ジョフリー・ムタイ(ケニア) |
女子最高記録 | 2:18:57 | リタ・ジェプトゥー(ケニア) |
ロンドンマラソン
開催地:イギリス・ロンドン
開催時期:4月
創立:1981年
URL:https://www.tcslondonmarathon.com/
男子最高記録 | 2:01:25 | ケルヴィン・キプタム(ケニア) |
女子最高記録 | 2:15:25 | ポーラ・ラドクリフ(イギリス) |
ベルリンマラソン
開催地:ドイツ・ベルリン
開催時期:9月
創立:1974年
URL:http://www.bmw-berlin-marathon.com/
男子最高記録 | 2:01:09 | エリウド・キプチョゲ(ケニア) |
女子最高記録 | 2:11:53 | ティギスト・アセファ(エチオピア) |
シカゴマラソン
開催地:アメリカ合衆国・シカゴ
開催時期:10月第2日曜日
創立:1977年
URL:http://www.chicagomarathon.com/
男子最高記録 | 2:00:35 | ケルヴィン・キプタム(ケニア) |
女子最高記録 | 2:09:56 | ルース・チェプンゲティチ(ケニア) |
ニューヨークシティマラソン
開催地:アメリカ合衆国・ニューヨーク
開催時期:11月第1日曜日
創立:1970年
URL:http://www.nycmarathon.org/
男子最高記録 | 2:05:06 | ジョフリー・ムタイ(ケニア) |
女子最高記録 | 2:22:31 | マーガレット・オカヨ(ケニア) |
6メジャーズ完走ランナーに与えられる「Six Star Finisher」の称号

「ワールドマラソンメジャーズ」なんてトップエリートでないと関係ないと思うかもしれませんが、いずれの大会もエリート部門だけでなく、一般のランナーも参加できるようになっています。このため、世界中のランナーが「ワールドマラソンメジャーズ制覇」を掲げて、各国の大会に出場しています。
そして、6メジャーズすべてを完走したランナーには「Six Star Finisher」の称号とともに、各大会での記録が入った名前入りの「AbbottWMM Six Star完走証」と「Six Star Finisherメダル」が贈られます。事前申請しておけば、大会当日にSixStar Finisherメダルをもらえるということで、東京マラソン後に多くの外国人ランナーが、2つの完走メダルを下げていたというわけです。
ちなみに「Star」となっているのは、AbbottWMM大会の大会を完走すると、abbottwmm.comのサイトで、大会ごとに「星」を申請できるためで、「One Star」から始まり「Six Star」に到達するというわけです。もちろん東京マラソンを完走したランナーは、みんな「One Star」ということになります。
東京マラソンを完走したなら、あとは残り5レース……と言いたいところなのですが、2025年から6メジャーズは7メジャーズになり、これまでよりも1つ多く完走しないと称号を得られなくなっています。
「Six Star Finisher」は「Nine Star Finisher」へ

2025シーズンから「ワールドマラソンメジャーズ」に、シドニーマラソンが加わることが発表され、これにより「Six Star Finisher」は「Seven Star Finisher」になることが決定しました。ただ、新しく追加される大会はシドニーだけではありません。
2026年にはケープタウン、2027年には上海がシリーズに参加することが予定されていて、「Six Star Finisherメダル」は「Nine Star Finisherメダル」になることが計画されています。その過程のメダルについては情報がありませんが、いずれにしても、「Six Star Finisherメダル」はそう遠くないうちに入手できなくなります。
世界の大会を9つも出場するなんて簡単なことではありませんが、新たに追加される大会はいずれも日本からアクセスしやすい都市ばかり。まずは1年に1大会のペースで出場し、9年後に「Nine Star Finisherメダル」を手にしてみてはいかがでしょう。それだけの期間があれば、きっと東京マラソンの抽選にも当たるでしょうから。
