
運動の後はタンパク質というのは、食べ物を意識しているランナーの方なら常識かもしれません。運動してリカバリーするときに筋肉の材料となるタンパク質を摂取することで、より質の高い筋肉を手に入れることができます。
でもレースなどの長い距離を走った後に、糖質を摂取するというランナーはあまりいません。むしろ糖質を嫌っている人のほうが多く、ランナーの中にも糖質制限をしている人も、いまだに多いようです。
レースで失った栄養素を取り戻す
フルマラソンやロング走をしたあとに、しなくてはいけないことが2つあります。それは体を休ませることと、失った栄養素を補うということです。休むのは十分な睡眠時間を確保すればOKです。いつもよりも2〜3時間多く寝てください。
それと合わせて、消耗した栄養素を補給することです。ランニングで失われるのは、タンパク質だけでなくグリコーゲンやミネラルなどで、いずれも積極的に補う必要があります。
特にグリコーゲンは早急に補わないと、脳が働いてくれません。マラソン翌日は頭が回らなくて仕事にならないという人もいますが、それはレース後の糖質摂取が足りていないためです。
走った後はタンパク質という意識だけが強くて、お肉や魚ばかり食べていたのではいけません。定食のようにバランスのいい食事を心掛けましょう。
グリコーゲンは運動直後に摂取する
筋肉中のグリコーゲンを回復させるときに、「いつ摂取するか」がとても重要になります。同じ量の糖質を摂取しても、タイミングが間違っていると、合成されるグリコーゲンの量が倍以上も違ってきます。
ではいつ摂取すればいいのかというと「運動直後」です。少なくとも1時間以内(理想は30分以内)には食事をしましょう。とはいえ、マラソン大会直後に食事ができるケースは少ないので、自分でエナジーバーなどを用意しておきましょう。
100%果汁のジュースでもかまいません。理想はバランスのいい食事ですので、定食屋さんが近くにあるなら、着替えてすぐに向かってもらいたいのですが、そうでないなら菓子パンと100%果汁のジュースを用意することです。
これだけで、レース翌日の頭が回らない状態を回避しやすくなります。
糖質を補わないと筋肉がやせ細る
糖質は太るから……糖質は体に悪い……糖質制限をしている人は、そう考えるかもしれませんが、レース直後に糖質を摂取しないと、体はタンパク質を使ってグリコーゲンを作り出そうとします。
そのタンパク質はどこからくるのかというと、筋肉が原料になります。このため、糖質を摂っていないと筋肉がどんどんやせ細っていき、その結果として思ったようなスピードで走れなくなります。
糖質の良し悪しは別として、そのような体の仕組みは知っておいてください。せっかく長い距離を走って、筋肉を鍛えられているのに、その筋肉を削ぎ落とされるわけです。それはもったいないですよね。
トレーニングを無駄にしたくないなら、必ず糖質を摂取してください。
体重1kgあたり1.0〜1.2gの糖質を摂取
糖質がないと筋肉が削られるといっても、糖質制限をしている人や糖質にいいイメージを持っていない人は、摂取するのに抵抗がありますよね。摂るにしても最低限に抑えたいかと思います。
確かに何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しです。糖質を摂るにしても適量を心掛けたいところです。ではどれくらい摂取するのがいいのかというと、「体重1kgあたり1.0〜1.2gの糖質」が目安になります。
体重が60kgなら60〜72gということになります。これは意外と多くて、食パンなら6枚切りで3枚。うどんなら1〜1.5玉分くらいの糖質が必要になります。ラーメンなら1杯でOKですが、レース直後これはヘビーですよね。
まとめて食べるのが難しいなら、小分けにして食べましょう。
30分以内に必要量を摂取できるのが理想ですが、無理に食べても内臓に負担がかかります。レースや練習直後から、小さめのパンなどを1時間くらいかけて食べ続けましょう。何もしないよりは回復が早まります。
まとめ
走るということは、体の中のエネルギー源を使っているということです。走り終えたら、まずは速やかに失われたエネルギーを補給することが回復への近道になります。ランニングは体内のグリコーゲンが減っていますので、30分以内に炭水化物を摂取しましょう。
糖質制限をしている人にしてみれば、炭水化物の摂取なんて考えられないかもしれませんが、グリコーゲン不足は判断力の低下などを招きます。過剰に摂取する必要はなく、失ったものを補うだけです。少なくともフルマラソンを走ったら、糖質制限をしていても炭水化物の摂取がおすすめです。
もちろん炭水化物だけでなくミネラルも必要です。筋肉を作るためのタンパク質も。ただ、ランニング直後に定食を食べられるという環境にある人は限られていますよね。だから、まずは筋肉を減らさないためにも炭水化物です。
手軽に摂取できるように、パンやおにぎりを用意しておきましょう。
