2022年10月30日
ランニングは貧血になりやすいスポーツです。走ることで汗と一緒に鉄分が体の外へ流れてしまいますし、何回も地面を繰り返し足裏で叩くことになるので、赤血球が破壊されてしまい、走れば走るほど体内の血液が不足して、知らないうちに貧血になって思うように走れなくなります。
そこまでは多くの人が把握していると思いますが、貧血になったら鉄分を摂ればいいと思っている人いませんか?確かに鉄分は重要な栄養素ですが、鉄分だけでは血液を作れず、かなりの量の鉄分を摂取しているのに、貧血状態から抜け出せなくなるケースがあります。ここでは、そのようなことにならないための方法として亜鉛の重要性について解説していきます。
スピードを出してないのに息が上がるなら貧血かも
ランナーは貧血になりやすいと知っていても、「まさか自分が」と思っている人のほうが多いかと思います。だから多くのランナーが貧血になっても自覚がなく、ただ思うように走れなくなることに対して「練習不足」なんて考えてしまいます。そして練習量を増やして、さらに貧血になるわけです。
これは市民ランナーだけでなく、トップランナーでもよくある話で、特に女性のトップランナーの中には、無自覚の貧血状態で練習を積み重ねているケースが多々あります。理由がわからず、いろいろ試した結果、貧血である可能性があることがわかり、食生活を切り替えたところ、以前のように走れるようになった選手もいます。
ただ、ここで重要になってくるのが、「貧血ならレバーなどの鉄分が多い食事を心がける」と思ってしまいがちということ。それは間違いではないのですが、貧血を改善できるくらいの鉄分を毎日食事だけで補うのは簡単なことではありません。そして、もうひとつ鉄分だけでは血液を作れないということです。
亜鉛が不足すると赤血球が正常に作れなくなる
血液の材料となるのは「鉄」です。鉄は酸素を細胞に届けるヘモグロビンの材料になるので、鉄が不足するとヘモグロビンの量が減って、必要な量の酸素を体の隅々にまで届けることができなくなります。ただ、ランナーは汗をかくことで鉄が不足し、さらに足裏を地面に叩きつけることを繰り返すので赤血球が壊れていきます。
結果的に酸素が細胞にまで届かなくなり、それほどスピードを出していないのに息が上がってしまうわけです。なので、鉄を取ることはとても重要なのですが、亜鉛も不足しているといくら鉄を摂ったところで、十分な量の赤血球を作り出すことができません。
亜鉛が不足すると、血液細胞である赤芽球が赤血球に育たないことがわかっており、いくら血液の材料である鉄を摂ったところで、赤血球が増えていかないので貧血が改善されません。これを亜鉛欠乏性貧血と呼びますが、まだあまり知られていないことなので見逃されるケースが多いようです。
亜鉛を摂りたいならサプリメントがおすすめ
成人男性の亜鉛推奨摂取量は11mg前後。これは普通に日常生活を送っている人に必要な量ですが、ランナーの場合には汗と一緒に流れ出しているので、推奨摂取量では不足することが容易に想像がつきます。さすがに倍は必要なくても、少し多めに摂っておく必要があります。
ただ亜鉛が含まれている食材はそれほど多くなく、含有量も少ないといった問題があります。たとえば亜鉛の優等生である牡蠣の場合には100gあたり13.2mgの亜鉛が含まれています。大きめの生牡蠣が1個で20gくらいですので、13.2mgの亜鉛を摂取するには生牡蠣を5個食べる計算になります。
それを毎日だなんてとても現実的ではありませんよね。なので、そういう場合にはサプリメントがおすすめです。ただし、サプリメントもどれくらい摂るのが適正なのか判断できないという人もいると思いますので、まずはサプリメントの規定量に従って摂取してください。
本格的に貧血がひどいばあいには、サプリメントでは足りません。お医者さんに相談して、亜鉛の錠剤を処方してもらいましょう。いずれにしても、大事なのは鉄分だけでは貧血が改善できない可能性があり、亜鉛も一緒に摂取する必要があるということです。
食材から摂取するのを意識して、足りない分はサプリメントやお医者さんに処方してもらった錠剤を使って、亜鉛不足による走力低下を防ぎましょう。