クールダウンは効果がない?休養と栄養補給を優先させよう

2021年2月14日

ランニングをしたあとには、ストレッチをして足の疲労を抜くためのクールダウンを習慣化している人もいるかと思いますが、最新の研究ではクールダウンにはほとんど効果がないことが分かっています。むしろ回復を阻害するという研究結果もあります。

それらをどう受け取るかはそれぞれが判断してもらいたいのですが、大事なのは自分で判断するために正しい情報を持つことです。そこで、今回はクールダウンがなぜ効果がないと言われるようになったのかについてお話します。

クールダウンは乳酸を減らすために始まった

そもそもクールダウンはなぜ行われているのでしょう?ほとんどの人が「疲労を溜めないため」と答えるはずです。ではその疲労というのは何でしょう?かつて疲労は乳酸によって引き起こされると考えられていました。

強度の高いトレーニングを行うと、乳酸値が上がるので「乳酸=疲労物質」と考えられていました。ところが乳酸は疲労物質ではなく、むしろエネルギーになるというのが最近の定説で、すでにどこかで耳にしたことがあるかもしれません。

クールダウンには乳酸値を下げる効果があります。これは実際に測定データなども公表されている事実です。乳酸が疲労物質だと考えられていたときには、クールダウンで乳酸値が下がるのなら、疲労が軽減すると考えたわけです。

ところが実際には乳酸は悪者ではなかったので、本来ならクールダウンも必要ないとなりそうなものですが、どのトレーナーも「クールダウンをしっかりしましょう」と言い続けた結果、科学的根拠もないままクールダウンが定着したままになっています。

クールダウンはグリコーゲンを消費するだけ

疲労回復:なし
筋肉痛軽減:なし
リラックス効果:なし
可動域向上:なし
グリコーゲン量:減

これまでの研究でわかっている結果がこちらになります。ストレッチやジョグをしても疲労回復はしませんし、翌日の筋肉痛も軽くなりません。リラックスもしなければ、可動域が上がることもありません。これまで常識だと思っていたことは、すべて思い込みだったわけです。

しかもクールダウンとはいえ運動ですので、体内のグリコーゲン量が減ります。グリコーゲンは脳のエネルギーですので、グリコーゲンが減るということは思考能力の低下につながります。マラソン翌日にぼーっとするという人は、グリコーゲン不足が原因です。

このように、クールダウンは効果があるどころか、むしろマイナスにしかなっていません。

これまでルーチンワークとしてやってきた人が、いきなりクールダウンを止めるのは難しいかもしれませんが、思い込みだけで続けるのはおすすめしません。クールダウンをするくらいなら、他にしなくてはいけないことがいくつもあります。

すぐに着替えて栄養補給する

クールダウンは絶対にしてはいけないとは言いません。習慣になっていると簡単にはやめられませんし、クールダウンしてきたからケガを回避していると思っている人は、不安だから続けたいですよね。ただ、汗をかいた状態でクールダウンをするのはNGです。

なぜなら負荷の高いトレーニングをした直後は免疫力が下がっています。そんな状態で汗冷えしたらどうなるか。簡単に風邪を引いてしまいます。風邪を引かなくても体は体温を上げるために、余計にエネルギーを消費します。

走り終えて汗をかいているなら、まずやるべきことは着替えです。すぐにシャワーを浴びれるのが理想ですが、難しいようなら汗を拭いて、上着を着ましょう。体温が急激に下がるのを防いでください。

それが終わったら、次は栄養補給です。ランニングで失われた糖とタンパク質を速やかに補給しましょう。ミネラルも汗で流れているので、スポーツドリンクや経口補水液も有効です。とにかく体を元の状態に戻すように努めましょう。

クールダウンよりも睡眠のほうが効果的

走った後のクールダウンはしっかりするのに、毎日の睡眠には気を使っていない人もいますよね。でも、疲労回復に効くのはクールダウンではなく睡眠です。クールダウンに15分使うなら、睡眠時間を15分多く確保したほうが回復力は上がります。

どんなサプリメントよりも、どんなリカバリーアイテムよりも睡眠が疲労回復に効果があります。睡眠は特別な道具もいらず、お金もかけずにできることなのに、睡眠時間を削って走っている人もいます。

ランナーに大切なのはトレーニングではなく、トレーニングをした後に回復をさせることです。トレーニングで鍛えられるのではなく、トレーニングをしてから眠るから走力が上がるのだという考え方に移行してください。

そういう意味では睡眠はトレーニングの一環ということになります。走力アップをしたいのであれば、クールダウンではなく睡眠を体に与えましょう(もちろんトレーニングもセットです)。

まとめ

繰り返しになりますがクールダウンにはほとんど意味がありません。でもいきなりはやめられないという人は、ランニングの最後の1kmをジョグにしてください。走行距離を伸ばさなければグリコーゲンの消費は防げます。

また、普段から「本当にこれは意味があるのか」という視点で考えるようにしてみましょう。あたり前だと思っていたことが、最新の研究では意味のないことだったというのは珍しいことではありません。

市民ランナーは限られた時間しかランニングに使えませんので、惰性で時間を無駄遣いするのはやめましょう。回復したいのであればクールダウンではなく栄養補給と睡眠です。体を動かしたあとはしっかり休んで回復を促しましょう。

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